コールアカデミー関西OB会2000年コンサート

賛助出演:アンサンブル葉音

  (梅新 同和火災フェニックスタワー内)

2000年11月25日(土)

18:00開場 18:30開演


ごあいさつ

本日はお忙しい中、当会“2000年コンサート”にご来場いただき、まことにありがとうございます。コールアカデミー関西OB会は、23年前に東京大学コールアカデミーの関西在住OBが中心となって結成して以来、男声合唱を愛するメンバーを募って、月2回の練習を続けて参りました。

当初“アンコールの会”(五つのOB男声合唱の集い)、及び関西合唱コンクールへの参加を主な目標としておりましたが、1997年1月に20周年記念行事として初の単独コンサートを行って以来、リサイタルを発表の場とすることに方向を転換し、今回が3回目となります。団員不足に悩みながらも、松井指揮者の薫陶のもと、音楽に正面から取り組む姿勢を保ってきましたが、本日は練習の成果をできる限り発揮したいと存じます。

幸い、昨年2月の演奏会“ジョイントコンサート”でご一緒させていただいたアンサンブル葉音さんに賛助出演いただくことになり、混声合唱にもチャレンジします。また、東京OB会の合唱団であるアカデミカコールの有志の方の応援もいただきます。

精一杯歌いますので、今宵の多彩なプログラムを--自画自賛ですが--お楽しみいただければ幸いです。また、今後も一層のご支援をお願い申し上げます。

コールアカデミー関西OB会会長

久山研一


 大阪外大を卒業後、また合唱をしたいと私達は集まりました。しかし仕事をし、結婚もし、子どももある。いつもいつも合唱ができる環境にあるわけではありません。参加できるときに参加する、歌いたいときに集まる、宙ぶらりんだけれどそんな風にしかできない。そんな中で都合をつけやりくりしなんとか目標に向かって一つになることを決めた14人が今回集まりました。家庭の事情で途中で参加できなくなった者、遠方の者、仕事の都合でなかなか参加できない者、前途多難でした。

 それでも歌いたい、一緒に感動したい。自分たちとも、観客の皆さまとも。私達の精一杯の思いが届くとうれしいです。「歌うのが好きなんだ」と。

 最後になりましたが、再びこのすばらしいホールにお誘いくださったコールアカデミー関西OB会の皆さま、ありがとうございます。歌う場があり、目標がある。こんな素敵なことはありません。皆さまの歌がかもしだす味わいを大切にしつつ、私達の色を出して今日の舞台に花を添えたいです。

 そしてご指導願っている松井裕子先生、そして合同で指揮をしてくださった松井義知さん。本当にありがとうございました。くじけそうになっては励ましてくださり、また、相談にのっくださいました。心から感謝いたします。いつか先生方にすばらしいステージというお返しをしたいです。

アンサンブル葉音

村本佳恵子


コールアカデミー関西OB会2000年コンサートおめでとうございます。アカデミカコールは皆様に6年遅れて東京地区で発足しましたので、言わば6才年下の弟です。ずっと皆様を目標にして活動してきました。いろいろなことにチャレンジし続ける皆様に頭が下がる思いです。今宵も楽しいコンサートを期待しています。

アカデミカコール

荒川昌夫


プログラム

第1ステージ:フォスター名曲集

  • 鳴らせバンジョー
  • おおスザンナ
  • やさしいアニー
  • オールド・ブラック・ジョー
  • カイロに
  • ローラ・リー
  • 草競馬

合唱:コールアカデミー関西OB会
バンジョー:細川 博
指揮:松井義知

第2ステージ: - 賛助出演 -

女声合唱のための無伴奏小品集「愛のとき」より
作曲:高嶋みどり
作詞:木島始

  • 愛のとき
  • いたいな
  • ひとの風
  • マドリガル~恋のなりふり
  • 霧明け

合唱:アンサンブル葉音
指揮:松井裕子

(休憩)

第3ステージ: - 混声合唱のステージ - 

混声合唱による「日本抒情歌曲集」より   編曲:林 光

  • 荒城の月
  • 浜辺の歌
  • 椰子の実
  • 中国地方の子守唄
  • 箱根八里

合唱:アンサンブル葉音(賛助出演)、コールアカデミー関西OB会
ピアノ:吉田謙吾
指揮:松井義知

第4ステージ: ベートーベンの作品から

歌劇「フィデリオ」より 囚人の合唱 「おお、なんという自由のうれしさ」

オラトリオ「オリーブ山上のキリスト」より

  • 裏切り者を捕らえろ
  • 我らは見た、彼がこの山に向かうのを
  • ここに追放された者がいる

合唱:コールアカデミー関西OB会
ピアノ:吉田謙吾
指揮:松井義知


曲目紹介

Ⅰ.フォスター名曲集

作曲者スティーブンフォスター(Stephen C. Foster)は、1826年7月4日、ニューオーリンズ戦線で調達指揮官であった父ウィリアムフォスターの第9子として生まれた。くしくも独立記念日に、熱血漢であった父の血をひいて生まれたスティーブンの愛国心は人一倍のものがあったが、事業家指向であった父とはまったく違った方向にそれが向けられ、当時米国で話題沸騰しつつあった、プランテーションで働く黒人問題を音楽(歌)で切り込むというものであった。

「おおスザンナ(1848)」で爆発的なヒットを飛ばしたものの、彼の存命中にまだ録音機がなかったことや、大衆向け音楽創作物(著作権)商用化の道が限られていたこともあり、フォスターの作品は、民衆だれもが鼻歌で口ずさむも、彼の生計を支えるものではなかった。

こうしたハンディに立ち向かうかのごとく、ピッツバーグ、クリーブランド、シンシナチといった米国中東部を移り住むかたわら、ニューヨークへも足を伸ばしながら作曲家としてのビジネスを貫いた。そして、1864年1月13日、ニューヨークでの単身生活中、高熱が原因での転倒事故で37才の若さで一生を終えるまで、200を越える数の楽曲を世に残した。

本日は、この中から次の7曲を、バンジョー伴奏も加えて演奏する。

  • 鳴らせバンジョー(Ring de Banjo! 1851)
  • おおスザンナ(Oh! Susanna 1848)
  • やさしいアニー(Gentle Annie 1856)
  • オールド・ブラック・ジョー(Old Blabk Joe 1860)
  • カイロに(Way Down in Ca-i-ro 1850)
  • ローラ・リー(Laura Lee 1851)
  • 草競馬(Camptown Races 1850)

Ⅱ.女声合唱のための無伴奏小品集「愛のとき」より

 初めて音取りをしたときのことを今でもはっきり覚えている。

「なんてきらきらした音の運びなんだろう、なんてみずみずしい和音だろう。」

 作曲者が10代後半から20代の若い年齢層を目指したそのハーモニー。私達の年齢と合致しないものもあるが、だからこそ私達をその頃に引き戻してくれる。ある者は大学生に、ある者は高校生に。そして現在20代の者は今の思いがそのままこの音に記憶されるかもしれない。

 音楽というのは自分に取り込むのが難しい。ましてや他人に伝えるなんてなかなかできない。けれど音や言葉で聴く人の記憶を何か呼び戻したり、何かイメージを浮かばせることができたら、もう充分ではないか。私達の音楽ではあるけれど、それぞれご自身で何か感じてもらえればうれしいです。

Ⅲ.日本抒情歌曲集より

滝廉太郎、山田耕筰にはじまる近代歌曲の歴史のなかで、人々に愛唱されている名曲を林光が選択・編曲して合唱曲集にしたもの。1964年から1975年にかけて、東京混声合唱団の求めに応じて書かれたもので、小沢征爾、岩城宏之、田中信昭氏らによって初演された。

林光氏は、「合唱曲の技巧をこらすことよりも、愛唱歌を口ずさむ楽しさを心がけた。日本語の自然の生理にそって、わざとらしさや、おおげさな感じにならない発音と発声を望む。また、ピアノパートは、伴奏というより、協奏的なもの。」と述べている。

本日は、二十数曲ある作品から次の5曲を選んだ。

  • 荒城の月 土井晩翠 詩/滝廉太郎 曲
  • 浜辺の歌 林 古渓 詩/成田為三 曲
  • 椰子の実 島崎藤村 詩/大中寅二 曲
  • 中国地方の子守歌 岡山地方民謡/山田耕筰曲
  • 箱根八里 鳥居 忱 詩/滝廉太郎 曲

Ⅳ.ベートーベンの作品から

歌劇「フィデリオ」より“囚人の合唱”

今から約200年前の1805年、パリ在住で45才のケルビーニは、ウィーン訪問の際に35才のペートーベンと交流の機会があり、お互いに触発されたという。それに先立つ数年、ベートーベンはオラトリオとオペラを作曲していた。この度の男声合唱曲4曲はその時期のものである。オペラ「フイデリオ」は1805年発表、中で歌われるのが有名な“囚人の合唱”で、政治犯が収監されている獄中の男声合唱である。

囚人達が中庭での散歩を許され、一時の開放感を得て歌う。

オラトリオ「オリーブ山上のキリスト」より

1801年に2週間で制作されたオラトリオ「オリーブ山上のキリスト」は、詩人フーバーの手になるドイツ語歌詞に曲をつけたもので、1803年ウィーン初演となる。イエス(テノール)、天使セラフイム(ソプラノ)、ペテロ(バス)の独唱、重唱に、天使、弟子、兵士の合唱が加わり、曲が進行する。

題材は聖書にあるイエスの物語。イエスに従う弟子の不安と、イエスの逮捕に向かう兵士の勇猛さとが表現された男声合唱3曲を、本日はとりあげた。

以上の4曲は、後に交響曲9番合唱付きや荘厳ミサ曲に到達するベートーベンとしては、30~35才の頃の合唱作品である。


指揮者・伴奏者紹介

松井 義知(指揮者)

1971年、大阪音楽大学音楽学部声楽科卒業。浦山弘二氏に師事(主にドイツリート専攻)。テレマン室内合唱団に1969年の創立時より加わり、主要メンバーとして活躍。

甲陽学院教諭。1985年よりコールアカデミー関西OB会常任指揮者。

素人集団であるOB会を素人扱いしないプロの厳しさと、人間的な温かさを合わせ持ち、その魅力的な風貌もあって、OB会メンバーの奥方たちにも根強い人気を有する。

松井 裕子(指揮者)

 大阪外大女声コーラス部(以下「女コラ」)の音楽顧問。3年前から卒団生が「アンサンブル葉音(はおと)」として合唱活動を始めたが、このご指導もお願いしている。

 主婦、お母さん、ピアノの先生、ママさんコーラスの指導、とたくさんのことをこなされている上に女コラと葉音の音楽顧問という頭痛の種。いつもいつも大きな娘達がご面倒をかけています。今宵は先生のお顔を曇らせないようみんな気持ちを一つにしていい舞台にします。

細川 博(バンジョー)

神戸バンジョークラブでギター奏者15年。楽器をバンジョーに持ち替えて7年目。「ファンボートジャズバンド」結成、現在に至る。

毎週月曜日に三宮サントリーバー「ヘンリー」にてライブ中。

吉田 謙吾(ピアノ)

コールアカデミー関西OB会会員。1980年法学部卒。現役時代はバリトンのパートリーダー。どんな楽譜でも初見で弾きこなすという驚異的なピアノ技量の持ち主。会社の独身寮にピアノを持ち込んだという逸話も残っている。「進むホーガクを間違えたのではないか」との周囲の声あり。


合唱メンバー

コールアカデミー関西OB

テナー1

久山研一
後藤玲嗣
三宮靖典
西岡孝博

テナー2

中村充男
本田達也
嵯峨哲夫
米澤啓明

バリトン

末木弘
広畑俊成*
吉田謙吾
米岡実
鷲崎巍

バス

荒川昌夫*
加納榮吉郎
北川克一
進藤正明*
野口雄二*
萩原康彦
八木雅司


アンサンブル葉音(賛助出演)

ソプラノ

森ひろみ
村本佳恵子
木藤康子
赤羽ちほ美
塩見英恵





メゾソプラノ

赤坂則子
松永淳子
森本安紀
草間紗織





アルト

坂戸千秋
三島智子
安井美智子
木村智子
野村瑠奈