コールアカデミー関西OB会25周年記念リサイタル

賛助出演:アンサンブル葉音、アカデミカコール

神戸市産業振興センター・ホール <JR神戸駅前>

2002年2月23日(土) 

午後4時 開場  4時半 開演



プログラム

第1ステージ: ミサ曲イ短調 作曲:アントニオ・ロッティ

  • Kyrie キリエ
  • Gloria  グローリア
  • Credo  クレード
  • Sanctus  サンクトゥス
  • Agnus Dei  アニュス・デイ

合唱: コールアカデミー関西OB会
オルガン: 堀江光一
指揮: 松井義知

第2ステージ: -賛助出演-「ヨハネ受難曲」より 作曲:J.S.バッハ

  • コラール   第26番
  • 合唱     第39番
  • コラール   第40番

合唱: アカデミカコール
ピアノ: 小野智子
指揮: 市木圭介

第3ステージ:男声合唱組曲「尾崎喜八の詩から・第二」作曲:多田武彦 作詩:尾崎喜八

  1. 雪消の頃
  2. 郷愁
  3. 盛夏の午後
  4. 田舎のモーツァルト
  5. 夕暮の歌
  6. 野辺山ノ原

合唱: コールアカデミー関西OB会
指揮: 松井義知

第4ステージ: -賛助出演- 女声合唱とピアノのための「ファンタジア」作曲:木下牧子 訳詩:木島始

  1. 雪ひらひら
  2. 風をみたひと
  3. ジプシー
  4. 重いのはなあに?
  5. 夜は決してじっとは

合唱: アンサンブル葉音
ピアノ: 小板裕美
指揮: 松井裕子

第5ステージ: パブロ・カザルス聖歌集 作曲:P.カザルス 編曲:久山研一、他(故久山研一追悼ステージ)

  1. Nigra Sum
    イェルサレムの乙女よ(私は黒い)
  2. Tota Pulchra
    なにもかも美しく
  3. Recordare, Virgo Mater
    とりなしたまえ、聖母マリアよ
  4. Salve Montserratina
    めでたし、モンセラートの黒い聖母
  5. O Vos Omnes
    道行く人よ

合唱: コールアカデミー関西OB会
オルガン: 堀江光一
指揮: 松井義知


曲目紹介

Ⅰ.ミサ曲イ短調 作曲:アントニオ・ロッティ

作曲者アントニオ・ロッティは1667年頃に生まれ、1740年に没したイタリアの作曲家で、ヘンリー・パーセルより8歳ほど年下、ヴィヴァルディより10歳ほど、バッハ、ヘンデルより18歳ほど年上といった年代です。

サン・マルコ大聖堂のアルト歌手から、オルガン奏者を経て、1736年に楽長となり、多くの教会音楽を書きました。オペラ作曲家としても活躍し、ヴェネツィアのいくつかの劇場にオペラを提供しています。教師としても重要で、門下には、アルベルティ、ガルッピ、マルチェロなどを輩出しています。

ミサ曲イ短調は、テノール2部とバス、という男声3部のために書かれています。ミサ通常文の形式にのっとり、Kyrie(哀れみの讃歌)、Gloria(栄光の讃歌)、Credo(信仰宣言)、Sanctus(感謝の讃歌)、Agnus Dei(平和の讃歌)の各部分から成っています。

曲中、特にGloriaがそうですが、随所にグレゴリオ聖歌による先唱が挿入されています。本日は、オルガン伴奏を付けて演奏いたします。

Ⅱ.「ヨハネ受難曲」より 作曲:J.S.バッハ

本日は、バッハが精魂を込めて作り上げた、宗教音楽の至高の名曲のひとつである「ヨハネ受難曲」より、コラール2曲(26番、40番)とコーラス1曲(39番)を、男声合唱に編曲して演奏いたします。

この受難曲は、一貫してバッハの「神に対する絶対の信頼」をはっきりと表現しています。40番(コラール)の歌詞を以下にご紹介します。

「40番」(コラール)

ああ主よ、あなたの愛する御遣いに命じて、最期に臨んだ私の魂を、アブラハムの懐に連れて行って下さい。私の死体は、アブラハムの臥所の中で、いとも安らかに苦しみも痛みも無く、最期の審判の時まで憩わせて下さい。

その日には私を死から呼び覚まし、この私の目であなたを拝ませて下さい。あふれる喜びのうちに、おお神の子よ、私の喜びよ、そして神の王座よ。

主イエスキリストよ、私の願いを聞きいれて下さい。私はあなたを永遠にたたえます。

Ⅲ.男声合唱組曲「尾崎喜八の詩から・第二」

「暖かい人間性と自然への素朴な讃歌」に深く共感し、多田武彦氏は幾度となく尾崎喜八の詩をとりあげて作曲している。

この組曲においても信州の自然とそこで生活する純朴な人々が登場するが、尾崎喜八の「清廉な詩情」と、独特のメロディと和音進行の「タダタケ節」が一体となって織り成す世界は、聴き手を捉えて放さない。但し語りかけるような八分音符の連続は、歌う者には誠に厄介ではあるが・・。

  • 『雪消(ゆきげ)の頃』:清々しい早春の山に「おおるり」の歌が喨々(りょうりょう)と響く。
  • 『郷愁』:子供が描いた絵具の碧さに武蔵野の空を懐かしむ。
  • 『盛夏の午後』:高原の夏の立体的描写。丘を隔てて「ほおじろ」が二羽、その鳴く声が、晩い午後の日光の蜜のような濃厚さを涼しく薄める。
  • 『田舎のモーツァルト』:信州安曇平の中学校の音楽室の情景。新任の女の先生が孜々(しし)として弾いたのは「トルコ行進曲」であった。
  • 『夕暮の歌』:風邪の熱を感じながら書き物をする「私」の耳に、遠くシューベルトの「菩提樹」が聞こえてくる。
  • 『野辺山ノ原』:信州八ヶ岳、野辺山高原の秋。道を教えてくれた若者の優しさ。まさに自然と人間への讃歌で全曲を締めくくる。

Ⅳ.女声合唱とピアノのための「ファンタジア」

「作曲上のコンセプトは、女声の特質を曲想に充分生かすこと、少人数でも作品の持ち味が損なわれない配慮をすること。そして、音楽の質を高く保ちながら、大人が歌って楽しめる洒落た作品にすること」---楽譜冒頭の作曲者コメントより。

この内達成できたと思うのは「歌って楽しめた」ということ。ただ、それは決して「楽(ラク)」ではなく、「難曲という山頂に挑戦することを楽しめた」といことだった。

練習中、ソプラノなどは1曲目の長く高いハミングで既に登頂後のように精力を使い果たしていた。なにしろロングトーンが多い作品で、息が続かなくなり、また、そのため表現しにくいのだ。けれど、だからこそ、1年前から通算30日以上歌っても飽きることはなかった。やさしいのに甘すぎない、どちらかといえば辛口の詩もよい。どれも「いつまでもそのままでいられないからこそ美しく大切な」ものをテーマとしており「微妙な」年頃の団員諸姉にとって大いに共感を呼ぶものだっただろう。

この作品に1年間取り組めたことを、今、非常に幸せに思う。

Ⅴ.パブロ・カザルス聖歌集

~~~20世紀の巨匠から、21世紀へのメッセージ~~~

パプロ・カザルス(1876~1973)は『チェロの王者』とまで形容される大チェリスト、指揮者として、20世紀を代表する音楽家の一人です。また、平和運動家として、亡命先の南フランスのプラードや最晩年を送ったプエルト・リコのサン・ファンで亡くなるまで、生地カタルーニャの自由とスペイン内乱の犠牲者(難民)救済の活動を続けたことでもよく知られています。

一方、大作オラトリオ「エル・ペセーブレ」は平和の象徴として世界の各地で演奏されてきましたが、作曲家としてのカザルスはそれほど知られていません。

黒い聖母これは彼が音楽活動の上で作曲をあまり重要視していなかったことにもよりますが、カタルーニヤの音楽の伝統を象徴するモンセラート修道院(また、カタルーニヤの守護神『黒い聖母」を祭る聖地でもあります)に、長い年月にわたって彼の宗教曲を献呈し、この修道院だけに楽譜の出版権を託し、演奏もすべてそこで行われてきたためでありましょう。

この度採り上げる聖歌5曲は、いずれも女声または混声のオリジナル版から男声版に編曲されたものです。宗教的で人間的であり、美しく親しみやすい巨匠カザルスの作品をお楽しみください。

なお本日のステージは、Tota Pulchra、Recordare Virgo Mater、Salve Montserratinaの 3曲の男声版編曲を担当しながらも、昨年10月に惜しくも亡くなった久山研一会長の追悼の意味合いも込めて演奏したいと存じます。


指揮者・伴奏者紹介

松井義知(指揮)

1971年、大阪音楽大学音楽学部声楽科卒業。浦山弘二氏に師事(主にドイツリート専攻)。テレマン室内合唱団に1969年の創立時より加わり、主要メンバーとして活躍。甲陽学院教諭。1985年よりコールアカデミー関西OB会常任指揮者。素人集団であるOB会を素人扱いしないプロの厳しさと、人間的な温かさを合わせ持ち、その魅力的な風貌もあって、OB会メンバーの奥方たちにも根強い人気を有する。

堀江光一(オルガン)

1986年東京芸術大学大学院修士課程修了後、渡英。ロンドンの王立音楽大学で学ぶ。各地のホール、チャペルで演奏活動中。バッハを頂点とするバロック期のオルガン音楽、特にパーセルからエルガーに至るイギリスのオルガン曲を多く手掛けている。またバロック演奏団体「日本テレマン協会」のオラトリオ公演やアンサンブルでは通奏低音を担当。日本オルガニスト協会会員。

市木圭介(指揮)

1995年までコールアカデミー関西OB会にて活動。東京転勤後、アカデミカコールにて団員ならびに練習指揮者として合唱継続。日本興業銀行合唱団所属。

小野智子(ピアノ)

東京芸術大学卒業、同大学院終了。1992年国際ロータリー財団奨学生として渡独、シュツットガルト国立音楽大学大学院終了、ドイツ国家演奏家試験に合格。リサイタルをはじめオーケストラとの共演、リサイタル伴奏等で活躍中。

松井裕子(指揮)

大阪外国語大学女声コーラス部で音楽顧問の裕子先生に指導を受けた卒団生が、4年前から「アンサンブル葉音(はおと)」として合唱活動を始めたが、その指導もお願いしている。生活文化センター及び学校の講師などに加え、合唱指揮者として、また声楽家として演奏やボランティア活動に加えて、大阪外大と葉音の音楽顧問という多様な役をこなす。


合唱メンバー

関西OB会

テナー1

テナー2

バリトン

バス

後藤玲嗣

嵯峨哲夫

小川安充

加納榮吉郎

後久義昭

中村充男

末木弘

北川克一

三宮靖典

本田達也

広畑俊成

野口雄二

谷田政隆

米澤啓明

吉田謙吾

萩原康彦

西岡孝博

 

米岡実

八木雅司

松本洋一

 

鷲崎巍

 


アカデミカコール(賛助出演)

テナー1テナー2バリトンバス

市木圭介

赤羽正昭

青木修三

荒川昌夫

上野紘機

梶川 浩

大坪 茂

岩本宗孝

後藤玲嗣

 

関原 彪

進藤正明

富松太基

 

野々垣顕彦

中村 至

   

山内貞次

野口雄二

   

広畑俊成

山岡成行

アンサンブル葉音(賛助出演)

ソプラノ

メゾソプラノ

アルト

赤坂則子

草間紗織

木村智子

赤羽ちほ美

小板裕美

小椎尾美菜子

遊田有香

坂戸千秋

野村瑠奈

塩見英恵

塚本幸枝

三島智子

村本佳恵子

藤原愛美

安井美智子

森ひろみ

二木 香

渡辺かおり

 

松永淳子

 
 

森本安紀