第10回東京六大学OB合唱連盟演奏会

アカデミカコール ステージ

2018.8.11

東京芸術劇場 コンサートホール

プログラム

男声合唱と8人のアンサンブルのためのMissa pro Pace


作曲・指揮:三澤 洋史 委嘱初演

三澤洋史先生は、 偉大なる表現者である。 新国立劇場の合唱団を世界最高水準に導かれた日本を代表する合唱指揮者であることは皆さんよくご存じの通りであるが、 作曲家としてもこれまでに「おにころ」「愛ははてしなく」「ナディーヌ」などのミュージカルを作られている。作曲はもちろんストーリー作りから脚本の執筆まで、すべてご自分でなさるのが三澤流だ。

文筆家としても大いに活動していらっしゃる。早川書房から4年前に出版された「オペラ座のお仕事―世界最高の舞台をつくる」は塩野七生さんも絶賛、またたく間に文庫化された。先生の公式ホームページ「cafe MDR」に毎週掲載しておられる「三澤洋史の今日この頃」を読んでみていただきたい。音楽エッセイとして秀逸であるばかりでなく、深い人生への考察や家族愛に触れて胸が熱くなる。

そして先生はカトリック信者である。多感な青年時代に宗教的情熱に目覚められ、自ら教会に足を運び洗礼を受けられた。現在、カトリックの月刊誌「福音宣教」に「行け、音よ翼に乗って」という連載も持っていらっしゃる。

このように、音楽家として、表現者として、宗教者としてさまざまなチャレンジをしながらますます進化を続けておられる三澤洋史の広大な宇宙空間を、縦横無尽に存分に描いていただきたいとお願いしたのが今回のミサ曲である。

そうしてできあがったMissa pro Paceは、まさに大作。演奏時間は優に1時間を超える。今回ご披露できるのはその三分の一である。(よろしければぜひ来年の今日、8月11日に同じ芸術劇場で行なう予定の全曲演奏会にお越しいただきたい。)
この曲は私たちにとって実に難曲である。ジャズやラテンのリズム、シンコペーション攻撃や三連符攻撃に、我がアカデミカコールはたじたじである。ある長老氏がおっしゃるには「三澤先生は敬老精神に欠けるんじゃない?」「いえいえ、私たちの老化防止を考えて下さってるんじゃないでしょうか」と私。
でもその長老氏も練習を重ねるにしたがって「なんか楽しくなってきたよ」とおっしゃる。そう、とつても楽しい
曲でもあるのだ。めくるめくリズムに高揚し、心を融かすメロディーに陶酔し、平和を願う祈りに深く共感する。
作曲者ご自身に指揮していただくということはその世界を100%味わえるということでもある。「この曲は僕自身ですから」と先生もおっしゃる。偉大なる表現者三澤洋史先生を感じ、受け止め、一体となって表現したい。


指揮 三澤洋史

国立音楽大学声楽科卒業後、指揮に転向。ベルリン芸術大学指揮科を首席で卒業。
1999年から2003年までの5年間「バイロイト音楽祭」で祝祭合唱団指導スタッフの一員として従事。
2001年に新国立劇場合唱団指揮者に就任。同合唱団を世界のトップレベルと言われるまでに鍛え上げ、内外から常に高い評価を受けている。
バッハの音楽に傾倒しており、2006年「21世紀のバッハ」をモットーに東京バロック・スコラーズを立ち上げ、ハイレベルな演奏はもとより、講演会や公開レッスンなど多角的な活動を行つている。CD「モテット集」はレコード芸術誌で「準特選」に選ばれた。2011年、文化庁在外研修員としてミラノ・スカラ座合唱団指揮者ブルーノ・カゾーニ氏のもとでスカラ座合唱団の音楽作りを研修。ベルカント唱法への理解をいっそう深めた。
2013年8月、名古屋で「パルジファルJ全曲を指揮。名古屋音楽ペンクラブ賞を受賞。
オペラ、宗教曲、合唱作品、創作ミュージカル(台本・作曲・演出・指揮を手がける)など、声楽を伴うあらゆる様式の音楽に精通し、ドラマと音楽との接点を追求している。著書に「オペラ座のお仕事」(早川書房)がある。
現在、新国立劇場合唱団指揮者、東京バロック・スコラーズ音楽監督、アカデミカコール常任指揮者。


東京大学音楽部OB合唱団アカデミカコール


大正9年創立の東京大学音楽部は、現在は、管弦楽団・男声合唱団コールアカデミー・女声合唱団コーロ・レティツィアの3団体で構成されています。
私どもアカデミカコールは、そのコールアカデミーOBによる男声合唱団で、東京六大学OB合唱連盟演奏会、コールアカデミー現役の定期演奏会、北大・東北大・九州大OBとのジョイントコンサートなど、年2回の演奏会出演を活動の中心に据えて、約60名のメンバーが毎週1回の練習を積み重ねています。
西洋宗教音楽を60年以上にわたリメイン・レパートリーとしてきたコールアカデミーの伝統を踏まえケルビーニ、グノー、ラインベルガーなどのミサ曲やレクイエムを演奏する一方、シューベルト、シューマン、ブルックナーなどのドイツ。ロマン派、モーツァルト、ヴェルディ、ワーグナーなどのオペラ、さらには高田三郎、多田武彦、藤原義久、三澤洋史、番場俊之など日本の作曲家による男声合唱曲を多数演奏してきました。
また、カーネギーホール(ニューヨーク)での現地オーケストラとの共演、ドイツ女声合唱団来日公演への賛助出演など、海外の演奏団体との交流も行っています。
本日は、常任指揮者三澤洋史先生に委嘱した「Missa pro Pace(平和のためのミサ曲)」から、Kyrie、Gloria、Agnus Deiの3曲をご披露します。やや意表を突かれる「三澤先生畢生の祈り」を、ご来場の皆さまにお届けできればと願っております。尚、ちょうど1年後の来年8月11日(日)には、東京芸術劇場に於いて、このミサ曲の全曲初演を予定していますので、こちらにも是非お運び頂ければ幸いです。

(アカデミカコール幹事長 川越和雄)


Top tenor
藤田侊一郎(昭和42)
持田 猛 (昭和44)
田中 敏章(昭和45)
川尻 幸由(昭和47)
富松 太基(昭和47)
横田 浩(昭和49)
吉松 崇(昭和49)
及川 信一 (昭和53)
酒井 雅弘 (昭和53)
新岡 香織 (昭和54)
築島 誠 (昭和55)
堀内 靖 (平成17)

Second tenor

永野 康雄(昭和36)
中村 晴永(昭和38)
梶川 浩 (昭和39)
黒住 昌昭 (昭和40)
平野 直樹 (昭和40)
羽原 靖彦 (昭和42)
水野  明(昭和46)
渡辺 毅(昭和51)
上野  亨(昭和53)
三木 祥史(昭和53)
六川 修一(昭和53)
村木 良次(昭和54)
嵯峨 哲夫(昭和55)
根田 仁(昭和55)

Baritone

染谷 辰次(昭和33)
大坪 茂(昭和34)
青木 修三(昭和39)
進藤 正明(昭和39)
金田 泰洋(昭和40)
滋賀 秀實(昭和42)
小川 慶治(昭和45)
川越 和雄(昭和45)
沢田 茂(昭和45)
古閑 伸高(昭和46)
市丼 善博(昭和47)
小林 芳郎(昭和49)
金瀬 弘忠(昭和53)
広畑 俊成(昭和53)
松浦 英基(昭和53)

Bass

福田 恒男(昭和28)
蒲田 順―(昭和35)
茨木 宏隆(昭和36)
小山 朝久(昭和36)
打保 元康(昭和39)
松比良伸也(昭和39)
柳川 榮(昭和39)
岩本 宗孝(昭和40)
犬塚 奎一(昭和42)
山岡 成行(昭和42)
和仁 亮裕(昭和49)
野口 雄二(昭和52)
荒川 昌夫(昭和53)
森 正明 (昭和53)
山田 亮 (昭和55)


※カッコ内は卒業年